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精神障害者施設の「気分調べ」を超える「元気調べ」についての提案

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この記事では、福祉施設でよく行われているであろう「気分調べ」に反対し、「元気調べ」を提案しています。言葉が最初!という理論を私は強く信じております。

 

 

 

こんばんは。はまだです。

私は普段、精神障害者支援のNPO団体でソーシャルワーカーをしています。

通所型の事業所で、毎日来るメンバー(利用者)と楽しく生活しています。

本日は、福祉施設でよく行われている、「気分調べ」なるものについて話したいと思います。

 

気分調べとは

福祉施設では、朝の気分調べというものをよく行います。

メンバー(利用者)の

・ 今日の気分(良い、悪い、まぁまぁ、眠いなどなど)

・ 今日の睡眠時間(何時間寝ました、みたいな)

・ 最近では今日の体温(コロナ対策)

などを、朝通所している人たちが順番にみんなに伝えるものです。

就労事業所なんかだと、その日の体調をお互いが把握し合いながら働くことができるというメリットがあるみたいです。(就労事業所では働いたことがない私です。)

例えば

「はい、濱田さん」と職員から言われれば

「おはようございます。本日の私の体調は、少し体がダルいです。昨日は中途覚醒があって、うまく睡眠がとられなかったからだと思います。睡眠時間は一応トータルでは6時間とってますが、5回くらい目が覚めちゃいました。体温は36.2℃です。」

みたいな感じです。

「気分調べ」には基本反対のはまだ

私は基本、気分調べには反対です。

なぜなら、シンプルに、暗すぎる!!!!!!!

最初の人が「具合はあんまり良くないです。」と言ったならば、

その具合の悪さは連鎖します。

隣の人も、「私も具合悪いです。」と続く確率が非常に高いです。

結果、そこにいる人みーーーーんな具合悪いと答える時があります。

私は明るい気分調べをほとんど見たことありません。

精神疾患を持つ人たちは、気分の落ち込みだったり、生活の辛さだったりを抱えながら事業所にやってきます。

もちろん元気100%!みたいな人もやってきますが、空気を読む人たちが非常に多いです。

「私は今日は体調が悪いです…」という人が多くいる中で、「僕は今日もめっちゃ元気ですー!!!」と答えるメンタルを持っている人はそうそういません。(精神疾患を持つ人たちは繊細です。空気を読みます。空気を読みすぎて辛くなることもあります。いつだって周りのことを考えているのです。)

結果、暗ーい朝のミーティングとなるのです。

(もちろん明るいミーティングも見たことあります。最初の人の体調が肝心!そして、職員の明るさも肝心!職員が暗いのにメンバーだけ明るいミーティングなんて見たことありません。)

その場の空気や雰囲気を左右する、集合的無意識の話

潜在意識の勉強をしていると、「集合的無意識」という概念に出会います。

ユングが提唱した集合的無意識。人間は潜在意識のさらに深く下で、共通の何かでつながっている。つまり、人の感情や波動は周りに連鎖します。近くにいる人ほど連鎖します。

精神障害者支援施設あるあるですが、グループホームなどの共有住居で、一人が精神的不調に陥ると、一緒に住んでいる住人が次々不調になっていくことがあります。

一人目の不穏さ、機嫌の悪さ、混乱状況などを見て、感じて、どんどん周りも不安になり、ついには体調を崩すのです。

つまりは!一人がすごく元気で明るくて笑顔であれば、それがどんどん連鎖していくともいえます!この概念を、私達は上手に使いこなす必要があるのです!!

そこで私は考えました。

「気分調べ」はやめよう!(もともと私の事業所はやっていませんでしたが)

そして、「元気調べ」をしてみよう!!

元気調べとは

ルールは簡単。

・ まず、朝のミーティングの時間は、嘘をついて良いことにします。

・ 参加者みんな、「今日は元気です!」しか言わない。具合が悪い日でも「元気!」。

・ 「元気です!」と言われれば、オーディエンスは必ず笑顔で拍手。

・ その後、最近あった良いこと一つ紹介。これも、なければ嘘ついていい。「さっきそこで500円玉拾いました!(嘘)」みたいな。

・ それもオーディエンスは拍手で喜ぶ。

・ どうしても「元気」と言えない時は、無理せず「パス!」

・ 「パス!も素晴らしいー!!!!」と、オーディエンスは笑顔で拍手。笑

てってれー。

いやいや、いい大人がこんなことするわけないじゃん!と、思うでしょう?私も、さすがにちょっと難しいかしらと思いながらやってみました。が、そんなことなかった!

これやり始めてから、毎朝うちの事業所はすごい明るい。皆さんが、「元気調べのために…」と良いこと探しをして朝やってきます。10人いたらその10人が、同じテンションでミーティングに参加しています。

これはすごい実践だと自分でも思っています。

きっかけは鴨頭嘉人さん

この元気調べは、鴨頭嘉人さんの「言葉が先」理論からきています。

言葉は気持ちを作る。

気持ちは行動を作る。

その行動が人生を作っていく。

「今日も元気です!」と声に出すことによって、みんなの意識は「元気」という言葉に向かいます。さらに、周りの人も「元気です!」と言うことでどんどん「元気」という言葉が体に蓄積されていきます。それが、その日の彼らの行動を作るのです。

終わりに

毎日毎日、「今日は具合が悪くて」「今日は眠れなくてダルいです」と言葉にして過ごす365日と、

「今日も元気ですー!」と、たとえカラ元気でも口に出して過ごす365日は、彼らにどんな影響を与えるんだろう。

それを私は今から楽しみにしているのです。

毎日言います!「今日も元気です!」

はまだ

 

 

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